JR札幌病院で何があった?看護師が入院患者の動画をSNSに投稿、JR北海道が謝罪――経緯と病院の対応

- JR札幌病院の看護師が入院患者を撮影した動画・画像がSNSに投稿され、運営するJR北海道が10月13日に謝罪しました。閉院や移転の話ではありません。
- JR北海道は、病院の聞き取りに対し看護師が「面白半分で投稿してしまった」と話していると説明しています。
- 病院は13日夕方に患者本人と家族へ謝罪し、SNSの運営会社に削除を依頼。同日夜には公式サイトにお詫びを掲載しました。
- ⚠️ 処分、調査結果、ほかの職員の関与、会見の予定は、10月14日午前2時20分(日本時間)時点で発表されていません。
- 外来・入院の診療への影響は報じられていません。2025年に明らかになった特定保健指導の不正とは、部署も性質も別の問題です。
札幌市中央区のJR札幌病院で、勤務する看護師が入院患者を撮影した動画や画像がSNSに投稿されて広まり、病院を運営するJR北海道が2026年10月13日に謝罪しました。病院の閉院や移転、経営が変わるといった話ではありません。JR北海道は事実関係を確認している段階で、処分や調査結果は2026年10月14日午前2時20分(日本時間)時点で発表されていません。
JR札幌病院で何があったのですか?
JR北海道によると、JR札幌病院に勤務する看護師が入院患者を撮影し、SNSに投稿していました。JR北海道はHBC(北海道放送)に対し、動画は「病院に勤務する看護師が撮影し投稿したもの」と説明しています。北海道新聞は、投稿されたのは動画と画像だと伝えています。
各社の報道によると、映っていたのは入院中の患者が食事をしたり治療を受けたりする場面です。撮影については、STV(札幌テレビ放送)が「患者に無断で」、UHB(北海道文化放送)が「無許可で」撮影したとみられると伝えています。撮影された患者は、UHBが男性、毎日新聞が高齢の男性と報じています。
JR札幌病院は、JR北海道が運営する札幌市中央区の病院です。閉院や移転、診療の縮小といった報道は出ていません。
いつ、どのように発覚したのですか?
病院が把握したのは10月13日の昼ごろです。STVは、患者に関する動画がインターネット上に出ているという連絡が同日昼ごろ病院にあったと伝え、UHBは病院の社員がSNS上で投稿を見つけたと報じています。
一方、毎日新聞は、看護師の投稿とされる動画がX(旧ツイッター)で10月8日から広まっていたと報じています。広まり始めた時期と病院が把握した時期には数日の開きがあり、この差についてのJR北海道の説明は報じられていません。
報道をもとにした流れは次のとおりです(日付・時刻は日本時間)。
- 10月8日:毎日新聞によると、この日からXで動画が広まる
- 10月13日昼ごろ:病院が把握(STV・UHB)
- 10月13日夕方:病院が患者本人と家族に謝罪(STVは午後5時ごろと報道)
- 10月13日:SNSの運営会社に動画の削除を依頼(HBC・UHB)
- 10月13日夜:病院が公式サイトにお詫びを掲載(女性自身)。HTB(北海道テレビ)、毎日新聞、UHB、HBC、STV、北海道新聞などが相次いで報道
看護師は何と説明しているのですか?
JR北海道は、病院の聞き取りに対して看護師が「面白半分で投稿してしまった」と話していると説明しています。HBC、STV、UHBが、いずれもJR北海道の説明として同じ言葉を伝えています。
投稿がどの範囲に公開されていたのかなど、詳しい経緯をJR北海道は明らかにしていません。看護師の氏名や年齢なども公表されておらず、本記事でも個人を特定する情報は扱いません。
病院とJR北海道はどう対応したのですか?
病院は13日夕方に患者本人と家族へ謝罪し、SNSの運営会社に動画の削除を依頼しました。謝罪の時刻はSTVが午後5時ごろと伝えています。削除の依頼先は、HBCがXの運営会社、UHBが拡散の続くSNSの運営会社と報じています。
同じ13日の夜には、病院の公式サイトに「JR札幌病院社員によるSNS上の投稿に関するお詫び」が掲載されました(女性自身)。JR北海道のコメントの要点は次のとおりです(HBC・STV・HTBなど)。
- 本件を重大な問題として受け止め、事実関係の確認を進めている
- 患者と家族への対応を最優先にする
- 関係する投稿などについて、必要な対応を進めている
- 事実関係が確認されしだい、社内規定などに基づいて厳正に対処する
- 再発防止に向けた取り組みを徹底する
毎日新聞は、事実が確認できた場合は改めて報告するとしていると伝えています。
まだ分かっていないことは何ですか?
処分、調査結果、ほかの職員の関与、記者会見の予定は、2026年10月14日午前2時20分(日本時間)時点でいずれも発表されていません。
- 処分:JR北海道は社内規定などに基づいて厳正に対処するとしていますが、内容や時期は示していません
- ほかの職員の関与:STVは、複数の人が関わっているとみられ、JR北海道が調査を続けていると報じています。UHBは、ほかの社員が関わっているかどうかを確認中と伝えています。関わった人数は明らかになっていません
- 映像に映っていたもの:毎日新聞は、拡散している動画に、複数の人が笑いながらスマートフォンで動画を見ている場面も含まれていると伝えています。これは映像の描写であり、誰が関わったかを示すものではありません
- 調査と会見:調査の結果や記者会見の予定は報じられていません
- 行政の動き:札幌市や北海道が対応に乗り出したという報道もありません
本記事はこの時点の情報をまとめたもので、新しい発表があれば更新します。
外来や入院の診療に影響はありますか?
外来や入院の診療への影響は、10月14日午前2時20分(日本時間)時点で報じられていません。JR北海道のコメントも、診療体制の変更には触れていません。
予約や受診について気になることがある場合は、病院の案内を確かめるか、病院に直接問い合わせるのが確実です。
以前報じられた「特定保健指導」の問題とは別の話ですか?
別の問題で、担当する部署も問題の中身も異なります。JR札幌病院の名前は、2025年12月にも別の不正で報じられました。
- 同院の保健管理部は、JR北海道社員向けの特定保健指導で、成立していない支援や行っていない支援を回数に数えるなどの不適切な取り扱いを続けていました(JR北海道の公表資料)。北海道新聞によると、JR北海道は期間を2008年度から17年間と説明しています。報道では「人数の水増し」と伝えられています
- その結果、特定保健指導の業務をJR北海道に委託していたジェイアールグループ健康保険組合(JR健保)から、委託料を過大に受け取っていました。北海道新聞が2025年12月24日に報じ、JR北海道も同日、事実を認めて謝罪しました
- 北海道新聞は、JR健保が国から受ける補助金についても、虚偽の実績にもとづいて多く受け取っていた可能性が高いと報じています
- 2026年4月27日の会見で、JR北海道は委託料をJR健保に返金したと説明しました。返金額は公表せず、水増しした人数は明確な記録が残っておらず特定できなかったとしています(北海道新聞・STV)
- 再発防止策として、2026年4月1日に保健管理部内へ健康管理センターを設けて保健師の業務を管理・監督する体制にしたことや、指導の実施方法の見直しを挙げています(JR北海道の公表資料)
今回のSNS投稿は、看護師による患者のプライバシーにかかわる問題です。保健管理部の委託料をめぐる問題とは、部署も性質も別です。
ほかの病院でも似たことがあったのですか?
直前の10月8日には、千葉県松戸市の千葉西総合病院でも、看護師が入院患者を無断で撮影してSNSに投稿していたことが発覚しています。共同通信によると、病院は関わった看護師3人を8日から出勤停止にしました。病院の公式のお知らせ(10月10日)によると、同日の懲戒委員会で、動画を撮影した職員2人を解雇、閲覧しただけの1人を厳重注意(人事指導)とすることを決めました。共同通信や毎日新聞は、2人の処分を懲戒解雇と報じています。
病院も運営者も異なる別の件で、JR札幌病院でどのような処分が出るかを示すものではありません。
患者や家族は、病院での撮影をどう考えればよいですか?
患者が写った写真や動画も個人情報にあたり得る、というのが国の資料と看護職の倫理綱領に共通する考え方です。
- 個人情報保護委員会と厚生労働省がまとめた、医療・介護事業者向けガイダンスのQ&A(事例集)は、個人に関する情報には映像や音声によるものも含まれ、写真も特定の個人を識別できるものなら個人情報にあたると説明しています。施設のホームページなどに利用者の写真を載せる例では、第三者が見られる形にするには原則として本人の同意が必要だとしています
- 日本看護協会の「看護職の倫理綱領」(2021年)は、看護職は対象となる人々の秘密を守り、取得した個人情報を適正に扱うと定めています。解説では、個人情報には画像や音声によるものも含まれるとし、SNSについては業務上の利用と私的な利用を区別し、プライバシーの保護に細心の注意を払うよう求めています
入院中の家族のことで不安がある場合は、病院の相談窓口を使う方法があります。札幌市保健所の案内ページ(2017年6月時点の調査)では、JR札幌病院の相談窓口として「総合患者相談窓口」が紹介されています。現在の窓口の名称や受付方法は、病院の案内で確かめてください。また、出回っている動画や画像を探したり転載したりしないことも、写っている患者本人を守ることにつながります。
どう確認したか
事案の中身は、JR北海道の説明を伝えた各社の報道(HTB北海道テレビ、毎日新聞、UHB北海道文化放送、HBC北海道放送、STV札幌テレビ放送、北海道新聞、女性自身)の本文を突き合わせて確認しています。動画は病院に勤務する看護師が撮影し投稿したものだというJR北海道の説明はHBCの報道によります。看護師の「面白半分で投稿してしまった」という発言は、HBC、STV、UHBの3社がいずれもJR北海道による聞き取り結果として伝えています。「無断」については、STVの「無断で撮影したとみられる」、UHBの「無許可で撮影していたとみられる」という表現に合わせ、断定していません。投稿が動画と画像の両方だったことは、北海道新聞の見出しと本文冒頭で確認しました(本文の続きは有料部分のため読めていません)。
発覚の時期は報道によって起点が異なります。病院が把握したのは13日昼ごろ(STV・UHB)、動画はXで8日から広まっていた(毎日新聞)という二つの記述があり、本記事ではどちらかに決めずに並べています。把握のきっかけも、外部からの連絡(STV)と社員による発見(UHB)で説明が分かれています。患者と家族への謝罪(13日夕方、STVは午後5時ごろ)、SNS運営会社への削除依頼(HBC・UHB)、JR北海道のコメント(HBC・STV・HTB)は複数社で一致しています。
⚠️ 病院の公式サイトは執筆時、アクセス制限のため閲覧できませんでした。お詫びの題名と内容は、女性自身の報道と、各社が伝えたJR北海道のコメントで確認しています。ほかの職員の関与は、STVが「複数人が関与しているとみられ」と報じ、UHBが確認中と伝えている段階で、JR北海道は人数を明らかにしていません。複数の人が笑いながら動画を見ている場面があるという記述は毎日新聞によるもので、映像の描写としてだけ紹介しています。投稿の公開範囲などの詳しい経緯は、JR北海道が説明していないため書いていません。
本記事では、看護師の氏名・年齢・アカウントなど個人を特定する情報、拡散している動画や画像の詳しい中身、患者の詳しい情報、SNS上の暴露系の投稿にもとづく話は、病院が確認していないものを含めて扱っていません。
特定保健指導の問題は、JR北海道の公表資料(2026年4月27日付「『特定保健指導における不適切な取扱い』に関する再発防止に向けた取組みについて」。不適切な取り扱いの概要は2025年12月24日の発表資料と同じ内容と明記)、北海道新聞(2025年12月24日の2本と2026年4月27日)、共同通信、STVの報道で確認しました。不正の期間を「2008年度から17年間」とするのは、JR北海道の説明として北海道新聞が伝えたものです。4月27日付の公表資料には起点の年度が書かれていないため、本文では北海道新聞の報道として示しています。返金額が非公表で、水増しした人数を特定できなかったという点は北海道新聞とSTVで一致しています。補助金については、国から補助金を受けるのはJR健保で、そのJR健保が虚偽の実績にもとづいて多く受け取っていた「可能性が高い」という北海道新聞の見方として紹介しています。この件の処分人数や行政への報告を伝える報道もありますが、原文を確認できたのが1社以下のため書いていません。
千葉西総合病院の件は、同院の公式のお知らせ(第3報、2026年10月10日)、共同通信(10月9日配信の出勤停止、10月10日配信の懲戒解雇・厳重注意)、毎日新聞(10月13日)で確認しました。公式のお知らせは、10月10日の懲戒委員会で動画を撮影した職員2人を「解雇」、閲覧のみの1人を「厳重注意(人事指導)」と決めたとしており、共同通信と毎日新聞はこれを懲戒解雇と報じています。
患者・家族向けの節は、個人情報保護委員会・厚生労働省「『医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス』に関するQ&A(事例集)」(令和8年4月一部改正版)、日本看護協会「看護職の倫理綱領」(2021年3月15日発行)、札幌市保健所の「受診している病院で困ったことがあったら(市内病院の患者相談窓口設置状況)」のページの本文によります。札幌市のページの掲載データは2017年6月時点の調査(ページの更新日は2018年1月22日)です。そのため本文では時点を添え、現在の窓口は病院の案内で確かめるよう書いています。
確認の時点は2026年10月14日午前2時20分ごろ(日本時間)です。処分、調査結果、会見はまだ発表されておらず、続報で内容が変わる可能性があります。